「ゲームの中で貯まったお金が現実のものになったら最高なのに……」

ゲーム好きな方の中には、このような想像をしたことがある人は少なくないはずです。

ところが、この夢物語に思える出来事は、実はテクノロジーの力ですでに現実のものとなっていることはご存知でしょうか。

NFTというデジタル資産を活用し、ゲームをすることで暗号資産(仮想通貨)を稼ぐ「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」という概念があります。

Play to Earnの性質を持ったゲームは急速に増えており、一部の国や地域ではゲームで生活費を稼ぐ人もいます。

この記事では、

  • Play to Earnとは何か?
  • Play to EarnとNFT・暗号資産の関係
  • 代表的なPlay to Earnのゲーム

について、NFTや暗号資産、Play to Earnに詳しくない初心者の方でも理解できるように解説します。

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ゲームで稼いだお金が現実のものになる?

疑問を感じる男性

RPGやアクションなど、ジャンルを問わず多くのゲームにはゲームの中だけで使えるお金があります。

ドラゴンクエストにはゴールド、ファイナルファンタジーにはギル、モンスターハンターにゼニーといった単位のお金が存在し、ゲームのプレイヤーはこれらのお金を貯めることで武器や防具、アイテムを購入したり、宿に泊まったりすることができます。

これらのお金は、当然のことながら現実のお金(日本円など)に交換することは出来ません。

わたしもモンスターハンターでゲーム内の上限である9,999,999ゼニーを貯め込みました。

そして「この金額の100分の1でもいいから、現実のお金になればいいのに」と、何度も思ったことがあります。

しかし実際は現実のお金に出来ないどころか、異なるゲームにそのお金を持ち出すことさえできません。

ゲーム内の通貨はあくまでそのゲームの中だけで価値を持つものであり、現実世界における金銭的価値を持つことはありません。

実際のところ、オンラインゲームではRMT(リアルマネートレード)という現象は見られます。

これはゲーム内でなかなか手に入らないレアアイテムなどのデータを、現実のお金で取引する行為です。

レアアイテムを頑張って収集すれば現実のお金が稼げるような気もしますが、RMTは基本的に多くのゲームで禁止行為とされています。

つまり、合法的な手段ではないということです。

一方、ここ数年で急速に人気が出ているのが、プレイすることで暗号資産を稼げるゲームです。

ゲームで遊んで稼ぐという概念を「Play to Earn」と呼び、実際にその機能を備えているゲームをP2Eゲーム(P2EはPlay to Earnの略称)、あるいはゲーム内で使用するデジタル資産「NFT」から名前をとってNFTゲーム、または暗号資産やNFTの基盤技術が「ブロックチェーン」であることからブロックチェーンゲーム(BCG)などと呼びます。

P2Eゲームで稼げるお金は暗号資産、つまり現実世界において価値を持つお金です。

暗号資産自体は、今はまだ決済などの現実世界における用途は乏しいですが、暗号資産取引所で簡単に日本円と交換することができます。

つまり、日本円と交換できるお金を、ただゲームで遊ぶだけで稼ぐことができるのです。

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Play to Earn(P2E)とは

Play to Earn

Play to Earnについて、暗号資産・NFTとの関係を中心に理解を深めていきましょう。

Play to Earnにおける暗号資産

P2Eゲームで稼げるお金は暗号資産です。

暗号資産で最も有名なものは、おそらくビットコインでしょう。

暗号資産のことはほとんど知らないという人でも、ビットコインの名前だけは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、多くのP2Eゲームで稼げる暗号資産はビットコインではありません。

P2Eゲームで稼ぐことができる暗号資産は、そのゲームを開発・運営している主体(企業等)が独自に発行しているものがほとんどです。

たとえば、2022年上半期に日本でも爆発的な人気を呼んだSTEPN(ステップン)というゲームがあります。

関連記事:【2022年8月最新】「STEPN」ってなに? 歩いて仮想通貨がもらえるNFTゲームについて解説 始める方法、今はどのくらい稼げるのか?

STEPNではGST(Green Satoshi token)という暗号資産を稼ぐことができます。

GST

STEPN自体が非常に人気のゲームとなったため、今では暗号資産界隈の多くの人がGSTの名前を知っています。

しかし、もし仮にSTPENがそれほど人気のゲームにならなければ、今なお多くの人がGSTという名前を知ることすらなかったはずです。

つまりP2Eゲームで稼げる暗号資産は、必ずしも誰もがその名を知る有名な暗号資産であるとは限りません。

正直なところ、そのゲームで遊んでいるプレイヤーしか知らないようなマイナーな暗号資産の方が多いくらいです。

ところが、どんなにマイナーな銘柄であったとしても、その銘柄が無事に暗号資産取引所に上場して他の暗号資産や法定通貨(円やドル等)と交換できるようになれば、わたしたちはゲームプレイを通じてその暗号資産を獲得し、最終的に日本円と交換することができます。

P2Eゲームを始めようとしたときに、聞き慣れない名前の暗号資産ばかりで最初は戸惑うかもしれません。

ですが、上場して他の通貨と交換できるものであれば、基本的には怪しいゲームではないはずですので安心してプレイすることができます

ただし「安心してプレイできる=損をすることはない」という意味ではありませんので、この点は注意してください。

P2Eゲームは現実のお金を稼げますが、逆に現実のお金を失うこともあります

この点は、ゲームプレイに必要なデジタルデータである「NFT」とも深く関わってきます。

Play to EarnにおけるNFT

NFTは「非代替性トークン」と呼ばれるデジタル資産です。

金銭的価値を持つデータとして取引され、最近では特にNFTアートと呼ばれる作品が高額で売買されるなど人気を集めています。

P2Eゲームの多くはこのNFTを活用しています。

具体的には、P2Eゲームを始めるにあたり所定のNFTをあらかじめ購入することが求められます

先ほど述べたSTEPNの例では、スニーカーのイラストが描かれたNFTをSTEPNのアプリ内で事前に購入することが必須です。

STEPNの靴NFT

中にはNFTを購入せずともゲームプレイ自体は可能なP2Eゲームもあります。

しかしそれらのゲームは、NFTを保有していない状態では暗号資産を稼ぐことができない設計になっているものが多く、稼ぐつもりなら基本的にNFTの購入が必要になります。

そして、このNFTの売買に関しては注意が必要です。

P2Eゲームでお金を稼げるのは事実である反面、プレイすることで損をすることもあります。

その主な原因はNFTの売買に伴う損失です。

具体的には、以下のようなケースで損失が発生することが考えられます。

  1. NFTの購入費用が高額なため、その後のゲームプレイで原資を回収できない
  2. NFT自体の価格が下落する可能性がある
損をすることも

損失が発生するケースの1つ目は、最初に購入するNFTが高額すぎるケースです。

たとえば、あるゲームのプレイに必要なNFTの価格が1万円だとします。

そして、そのゲームをプレイすることで稼げる金額が1日あたり1円だとします。

この場合、毎日確実に1円を稼ぐことができたとしても、原資である1万円を回収するだけで1万日=約27年かかることになります。

これではあまりにもゲームをする旨味がありません。

NFT購入費用とその後の稼ぎがここまで露骨に見合わない例はそれほど多くありませんが、かけた原資の割にあまり稼げないというゲームは存在します。

ゲームを楽しむこと自体ではなく稼ぐことを目的とするならば、どのくらいの期間で原資回収ができ、その後どれくらいの収益があがるのか、事前にしっかりと情報収集する必要があります

原資回収を計算

2つ目は、購入したNFTの価格が下落するケースです。

先ほどと同じで、初期に購入するNFTの価格を1万円だとします。

その後、ゲームで暗号資産を稼ぎ、無事に1万円の原資を回収したとしましょう。

しかし、その時点でNFTの価格自体が1万円から5,000円に下落していることもあります。

せっかくゲームで1万円を稼いでプラスマイナスゼロの状態になったにもかかわらず、NFT価格の下落によりマイナス5,000円の状態に逆戻りしてしまったイメージです。

NFTは価値が保証されているものではなく、最悪の場合、金銭的価値がほぼ0になることもあります。

もちろん、その後もゲームを続けることでNFT価格の下落分も補填できるくらい稼げる可能性もゼロではありません。

しかし、基本的には「NFT価格の下落に伴う損失はいつでも発生し得る」ということを頭に入れておくべきでしょう。

P2Eの最先端はフィリピンの農村地域?!

フィリピンの農村

日本では暗号資産投資をしている人の数も少なく、またNFTについてはそもそも名前さえ知らない人の方が圧倒的に多い状況です。

しかし世界を見渡せば、暗号資産とNFTを活用したP2Eゲームはすでに大きな人気を集めています。

P2Eゲームだけで生計を立てている人もいるくらいです。

特にP2Eゲームが流行っている地域として、東南アジア諸国、中でもフィリピンの農村部などがあります。

「先進国の日本じゃなく、なぜ発展途上国で流行っているの?」と不思議に思うかもしれません。

しかし、この理由は非常にシンプルです。

農作物を作って売るよりも、ゲームで遊んで暗号資産を稼ぐ方が儲かるからです。

フィリピンの農村部などは所得水準も高くなく、P2Eゲームで稼げる金額の方が農業で稼げる金額よりも大きいということが起こりえます。

このことからP2Eゲームは現在、発展途上国を中心に普及しつつあります。

東南アジア以外ではアフリカなどでも、若者を中心にプレイ人口は増えつつあります。

代表的なPlay to Earnのゲーム

P2Eゲームは日々、様々なものが誕生しています。

ここでは世界的に有名なゲームを2つ紹介します。

暗号資産やNFTを少しかじったことがある人なら誰もが知っているゲームです。

Axie Infinity

Axie Infinity

画像元:Axie Infinity公式サイト https://axieinfinity.com/

P2Eゲーム人気の火付け役となったのがAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)です

Axie Infinityはアクシーと呼ばれるモンスターを育成し、コンピューターや他のユーザーと対戦して楽しむゲームです。

また、アクシー同士を配合して新しいアクシーを生み出すこともできます。

Axie Infinityで用いられる暗号資産(SLPとAXSの2種類)を稼ぐ方法は、大きく3種類あります。

  • 対戦に勝利する
  • デイリークエストをこなす
  • NFT(アクシーやアイテムなど)をマーケットで売る

対戦及びデイリークエストは、ゲームをプレイすることによって暗号資産を獲得する方法です。

一方、ゲームに利用するアクシーやアイテム自体には金銭的価値がつくため、これらを売ることでも暗号資産を獲得することができます。

Axie Infinityの記事一覧

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STEPN

STEPNはPlay to Earnから派生したMove to Earn(歩いて稼ぐ)のゲームです。

STEPN

画像元:STEPN公式サイト https://stepn.com/

購入したNFTを保存したスマホを持って、歩いたり走ったりすることで暗号資産を獲得できます。

ゲームに利用するスニーカーNFTにはレベルや能力値が定められており、アクシーのようにスニーカーを育成する楽しみもあります。

STEPNで暗号資産を稼ぐ主な方法は大きく以下の通りです。

  • 歩いて稼ぐ
  • NFT(スニーカーやアイテムなど)をマーケットで売る

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Axie InfinityとSTEPNを比較してもわかる通り、実はP2Eゲームで稼ぐ方法は「ゲームをプレイして稼ぐ」「NFTを売却して稼ぐ」の2つに大別され、これは根本的にどのゲームも大差がありません。

したがって、1種類でもP2Eのゲームで遊んだ経験があれば、2つ目以降のゲームは比較的簡単に始められることが多いです。

  • 「仮想通貨はじめて」の人にもわかりやすい
  • 画像多めで簡単に解説


初心者
向け

STEPNってなに?
始め方を詳しく解説

リンク先:https://nftimes.jp/2022/08/whats-stepn/

まとめ

ゲームで稼ぐ

Play to EarnはNFTを活用して暗号資産を稼ぐことができるゲームです。

暗号資産やNFTの価格変動リスクはあるものの、すでに世界的な人気を誇るゲームも存在し、東南アジアやアフリカなどではP2Eゲームで生計を立てている人もいます。

NFTを購入せずに始められるゲームもありますので、まずは無料で体験してみることをオススメします。

慣れてきたらNFTを実際に購入し、ゲームで暗号資産を稼ぐという体験をぜひ味わってみてください。