NFTに夢中になっている人にさまざまな角度からNFTの魅力を聞いていく本企画。

単なる画像に見える「NFTアート」に多くの人が惹きつけられる理由を、インタビューを通じて探っていきます。

今回は、NFTコレクション「CryptoYummy!」の創始者(以下ファウンダー)である「ゆかのんさん」にお話しを伺いました。

ゆかのんさん自身も、実際にNFTを手にして大きく価値観が変わる体験をしています

NFTを通じて多くの人がより自由に自分を表現し、人と人が繋がれるようになれたらという想いでNFTコレクション「CryptoYummy!」も立ち上げられ人気となっています。

買い手・作り手の双方の視点から語ってくださった、NFTの魅力に溢れたインタビューです。

ぜひ最後までお読みください!

ゆかのんさんってどんな人?

−現在、NFTに関してどのような活動をされていますか?

CryptoYummy!
CryptoYummy!@opensea

出典:CryptoYummy!

ファウンダーとして、「CryptoYummy!」というNFTコレクションの運営をしています。

「CryptoYummy!」は『食べ方も生き方も、私らしく。』がコンセプトのNFTアートコレクションです。

ご覧の通り、かわいい女の子が食べ物を美味しそうに食べているイラストですが、そこにはファウンダーとしての私の想いを込めています。

−最新作の#006は、女の子のシャツに「チャーハン」と書かれていてユニークですね。

最新作の#006

出典:opensea

そうなんです(笑)

#006の作品は、日本で唯一の炒飯栄養士®である佐藤樹里さんが書いたレシピ本とコラボした作品です。

実は樹里さんも私も同じ「管理栄養士」なんです。

#006は「CryptoYummy!」として初めてリアルなレシピ本とコラボすることで、NFTに込められたストーリーをよりファンの方に楽しんでもらえる作品になったと思います。

0.369ETH(約7万円)で落札された

※インタビューの2日後にオークションが実施された#006の作品は0.369ETH(約7万円)で落札されました。

NFTとの出会い

−NFTを知ったきっかけをお聞かせください。

NFTのことを知ったのはイケハヤさんもんだるいこさんのVoicyです。

最初イケハヤさんのお話を聞いた時は「すごい技術なんだろうな」と思ったものの、残念ながら聞き流してしまっていました。

でも、その後もんださんがNFTのことをVoicyで話されて、そこで初めて自分ごととして捉えるようになりました。

もんだるいこさんのVoicy

当時(2021年9月30日)感銘を受けた放送回 https://voicy.jp/channel/586/215770

もんださんのことはVoicyを始められる前から、Twitterなどで知っていました。

彼女が運営しているNGO・PLASのサンクスパーティで直接お会いしたこともあり、女性起業家として尊敬しています。

自分が尊敬しているもんださんがこれだけ熱量を持って語っているのだから、きっとこのNFTというものにはベットする価値があるんじゃないかなと感じました。

その後、「Crypto Beautiful」(もんださんがファウンダーを務めるNFTコレクション)を購入し、そこで関わった人たちからいろんなことを学ばせていただいたのも、やはりきっかけがもんださんだったからというのは大きかったと思います。

−その当時、「Crypto Beautiful」も含めてどのようなNFTを購入されましたか?

ゆかのんさんが保有する様々なNFTアート

クリエイターさんが作った作品を、数は多くないですがいくつか購入しました。

初めてNFTを買うときはいろんなハードルがありましたね。

まず、イーサリアムとポリゴン(※1)の2つのNFTがあって、ポリゴンの方が安いらしいということを聞きました。

わからないことだらけで、GOX(※2:ゴックス)も怖かったので、まずは少なめの金額で「NFTを買う」という体験をしてみようと思いました。

当時はもんださんがいけもとしょうさんのNFT作品をオススメしていたので、ポリゴンで出品している作品を2,000円程度で購入しました。

いけもとさんの作品をアイコンにして初めてのNFTを楽しんでいた時、ちょうど憧れの「Crypto Beautiful」から#044の作品がお披露目されました。

#044の作品を目にした瞬間、「この子、買いたい!」と思い、当時の自分にとっては大金だった0.2ETH(当時のレートで6万円程度)で購入しました。

※1:NFTの購入ができるマーケットプレイス「OpenSea(オープンシー)」ではイーサリアムとポリゴンの2つのネットワークで販売しているNFTが購入可能。一般的にイーサリアムの作品は高額で、ポリゴンの作品は安価なものが多い。

※2:GOX(ゴックス)は暗号資産やNFTの送金・送付を誤り、資金やNFTを喪失してしまうこと。GOXした資産は取り戻すことが一切できない。

Crypto Beautiful” #044の作品

※“Crypto Beautiful” #044の作品。所有者にはゆかのんさんの名前が刻まれている。

NFTのおかげで、もっと自由に自分自身を表現できるようになった

−「Crypto Beautiful」からはゆかのんさん自身が大きな影響を受けたと聞きました。

#044の作品は、ピンクの髪の色から左上に月が映っている宇宙っぽいイメージまで、すべてが自分の好みにドンピシャでした。

この作品の女の子に近づきたくて、自分の髪の一部をピンクにしたこともあります(笑)

個人的な話になりますが、私自身、自分の見た目に自信を持てない時期が長くあり、そういった自信のない状態から解放されるために管理栄養士の知識も活用してボディメイクに励んだこともありました。

自分への自信のなさゆえに、いかにも「かわいい女の子」らしいピンクという色を積極的に選ぶことも、これまではありませんでした。

ところが、#044の女の子に似せて自分自身の髪もピンクにしてみると、NFTの世界の人たちからは「ピンク色、とてもお似合いです!」という言葉をたくさんいただいたんです。

この時、「そうか、NFTの世界ではリアルの自分に〇〇が似合う・似合わないとか、自分の見た目がどうだとか、気にしなくていいんだ」ということが実感として理解できたんです。

NFTの世界では誰しもが本名ではない仮の名前、そしてアイコンだけで自分を表現してコミュニケーションをとっています。

これってまさに、今まで自分が気にしていた「見た目への執着」から解放された世界だなと強く感じたんです。

「Web3の時代では、これまで自分が悩んできたことが根本的にひっくり返るかもしれない」という衝撃さえありました。

それに重ねて、「Crypto Beautiful」#044の作品を購入し、その子を自分のSNSアイコンにしたことで湧き上がってきたこのワクワク感。

NFTのことを知らない人から見ればたかだかアイコンをひとつ変えただけですが、「私もNFTの世界に入って来れたんだ」という気持ちになりました。

ボクセルアーティストmoguさんによるファンアートでメタバース空間に展示された作品を見に行った

−Voicyを聞き流されていた最初からは想像もできない変化ですね。そこまでNFTにのめり込んだ理由はなんですか?

管理栄養士としての情報発信は、NFTに取り組む前からYouTubeなどで行っていました。(約2年間で300本投稿、総再生回数は350万回超)

そこで私が発信していたのは、主に「自分の体型や見た目を変えるためにすべきことは?」という類のいわゆるノウハウでした。

役に立つ情報は自分なりに届けてきたつもりです。

でも、その中で気づいたのは「いくら運動方法や正しい食事の知識などを身につけても、結局メンタルが変わらなければ人は変わらない」ということでした。

そして、これは私自身にも当てはまることだったんです。

2021年にはベストボディジャパンという大会にも出て、傍から見れば完璧に見える体型にはなりました。

左:before 右:afterベストボディジャパン全国大会2021

それでも「あの人の方が脚が長い」とか「自分の体型のここがよくない」というように、どれだけ体型が完璧でも内面が執着に囚われている限り、人間ってずっと悩み続けるんです

そんな中で出会ったのがNFTでした。

他人に自分の姿を見せることなく、アイコンだけで自分を表現することができ、見た目で他人から評価されることもない。

これまで自分が悩んでいたことから解放されて、純粋にパフォーマンスを出すための「魂を入れておく箱」のようなものとして自分の体のことを捉えられるようになりました。

「朝からしっかり食べて脳みそを働かせて、自分がやりたい活動のためにエネルギーを使い、夜はしっかり寝る」というように、自分の体を自分のやりたいことに対して純粋に使うことができるんじゃないかなという仮説から、NFTのことをもっと知りたいと思うようになりました。

NFTを通じて共通の価値観を持つ人と出会えるように

−ゆかのんさんにはNFTとの出会いは大きな転換点だったんですね。一方で、多くの人がNFTを手にすることで享受できるNFT特有のメリットはありますか?

自分と価値観が合う人と出会いやすくなることです。

これも個人的な話ですが、私は小さいころから人と群れるのが苦手でした。リアルで自分の趣味嗜好を共有できる友達も少なかったですね。

でも、NFTを買ってTwitterで発信したら、驚くほど大勢の人が共感してくれました。

「自分と同じような価値観を持っている人たちがこんなにいたんだ!」という、うれしい驚きです。そしてこのことは、今の活動の原動力にもなっています。

よいコレクション運営は「買い手の気持ち」を知ることから

−ご自身で「CryptoYummy!」を手掛けてみて、NFTを作る側として何かハードルはありましたか?

実は、それがあまりないんです。

コレクション運営を始める前に、純粋にNFTを買っているだけの時期が5ヶ月ほどありました。

その時期に、特に「Crypto Beautiful」のコミュニティをメインに活動する中で、「NFTのホルダー目線・買い手目線ではなにをしてもらったら嬉しいのか、なにをされたらNFTを買おうと思うのか」を自然と学ばせていただきました。

Crypto Beautiful

出典:Crypto Beautiful

また、私がNFTコレクション販売を始めたころにはすでにNFTコレクションを数ヶ月運営している人たちがいて、こういう風にしたらうまくいきやすいという情報もかなりまとまっていました。

それらを学ぶことで今はコレクション運営が出来ています。

もし私がコレクター目線の学びを得ることがないままファウンダーとしてNFTコレクションを作っていたら、うまく運営することは難しかったんじゃないかなと思います。

これまでのWeb2と呼ばれる時代も、消費者の目線は必要でした。

でも、Web2の商品は誰にとっても価値がわかりやすいんですよね。

食べ物は美味しく食べられたらそれでいいし、機械は便利に使うことが出来さえすればいい。

消費者目線、つまり消費者が考えていることや望んでいることも、とてもわかりやすいものでした。

ところがWeb3、そしてNFTの世界は新し過ぎるがゆえに、金銭的な価格の値上がり以外に消費者が何を求めているのかが、NFTコレクションによっても様々です。

そこをまずは自分自身が消費者の目線に立って知っておかないと、NFTを作る側としての立ち振舞いは難しくなるんじゃないかなと思います。

こうやったらうまくいくという最低限の方法論は押さえつつ、そこからのプラスアルファはファウンダーの色や人間力が問われる世界だとも思います。

心から共感できる発信者に出会えるのがNFTの世界

−「CryptoYummy!」の制作を始めて、よかったなと思うことはありますか?

「自分のビジョンに共感し、応援してくれる人がいるんだ」という実感をまず持てたことが大きいです。

これまでの情報発信も自分のビジョンを持ちながら続けていましたが、例えばYouTubeで自分のビジョンを前面に出しても再生数は伸びないんですよね(笑)

動画で語ってもすぐにスキップされるので、「応援されている、共感を得ている」という実感はありませんでした。

一方、NFTコレクションを運営していると、かなり早い段階で自分のビジョンをみなさんに見てもらうことができます。

NFTを買う人が最初に目にする部分(ファーストインプレッション)は作品の見た目ですが、その時点ではまだNFTが買われることは少ないと思っています。

では、NFTを買うかどうか迷っている人が見た目の次にどこを見るかというと、それがビジョンなんです。

「ファウンダーは何を目指してNFTコレクションを運営しているのか」

「このNFTコレクションで一体何がしたいのか」

そういったビジョンを「ファーストインプレッションの次」という非常に早い段階で見てもらえるのが、個人的にはとても大きなことだと感じています。

ビジョンが深く刺さった人、共感してくれた人が「CryptoYummy!」のホルダーになってくれたケースは多いです。

ビジョンという深くて強固なものと、イラストというインプレッションが得やすくて広がりやすいものを組み合わせることで、私が伝えたいことがより伝わりやすく、かつ深く伝わる。

これは発信者としては革命だとさえ思います。

そのおかげで自分を応援している人がいることを実感できる点は、NFTをやっていて本当によかったなぁと感じるところです。

「3ヶ月で10キロ痩せる方法」のようなノウハウを伝えることが目的なら、YouTubeのようなすでにあるプラットフォームで十分です。

でも私が伝えたかったのは「自分がなりたい体になってそこからどうするのか。どう生きていくのか」というところだったので、やはり自分にはNFTが合っていたのかなと思います。

裏を返せばこれからNFTを始める人も、NFTの世界に足を踏み入れることで「自分が心から共感できる発信者」に出会えるはずです。

孤独に頑張らなくてもいいのがNFTの良さ

出典:本人Twitterより

−これまでの活動を振り返って、NFTのおかげでどんな風に人生が変わったなと感じますか?

まずは「仲間」ができたことです。

私は自分が興味を持つ対象について、なぜか身近な人であるほど話せないということが多かったんです。

NFTも同じで、自分の身の回りにNFTのことを気軽に話せる人なんてまだほとんどいませんよね。

でも、NFTに関わっている人たちのコミュニティに入ってみるとまったく違うんです。

NFTについて気軽に話せて、興味を持つポイントも同じで、一緒に熱狂もできて。

共同でNFTコレクションを運営しようというような話じゃなくても、同じNFTの所有者として何か一緒にやろうとか、みんなで楽しめることをやろうと言い合える仲間ができたのは、大きく人生が変わったなと感じる部分です。

出典:本人Twitterより

加えて、自分ひとりで孤独に頑張る必要はないんだなと思えたことも大きいです。

「自分には価値が生み出せないから何もできない」じゃなくて、「一緒に何ができるか考えよう」という人に出会えるのは、本当にすごいことだなと思います。

例えば自分では絵が描けなくても、自分が応援しているNFTコレクションのためにTwitterスペースで音声配信をするとかであれば、スキルがなくてもできます。

自分のちょっとした行動が誰かのプラスになっている実感が持ちやすく、自己肯定感も上がりやすい。

NFTを始めると、そういった優しい世界に触れることができます。

これも、NFTを始めたことで生まれた大きな変化だと思います。

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