夕張メロンNFTを印刷して手に持つ代表の田中さん

NFTに取り組んでいる人にさまざまな角度からNFTの魅力をお伺いする本企画。 

今回はweb3のデジタル技術を活用した地方創生プロジェクトを手掛けるMeTown株式会社の代表・田中一弘さんにお話しを伺いました。 

田中さんは北海道出身。自身が高校生の時に夕張市が財政破綻したのを目の当たりにしたことで地方創生や地域産業の活性化に興味を持ち、大学でもこの領域について学ばれました。 

そして16年が経過した2023年に創業したMeTownでまず初めに立ち上げたプロジェクトが、本記事のメインテーマとして解説する「夕張メロンNFT」です。 

実物資産とNFTの組み合わせが非常に珍しいことや、JA夕張市が共同でプロジェクトに取り組んでいることにより全国で初めてJAがNFTプロジェクトに関わっている事例となったことなどから注目を集めています。 

読者のみなさんも一度は食べたことがあるであろう夕張メロンを扱った、とても興味深く、親しみを感じるNFTプロジェクトです。 

ぜひ最後までお読みください! 

関連記事:【夕張メロンNFT】農業×NFTのプロジェクトが始動 夕張メロン引換券の特典もあるJA夕張市公認の「デジタルアンバサダー」になる方法を紹介

錦鯉NFTに出会って受けた衝撃

錦鯉NFT

出典:錦鯉NFT公式サイト 

−最初にNFTを知ったきっかけをお伺いします。 

伊藤穰一さんのポッドキャストがきっかけです。 

昨年、子供が生まれたんですが、抱っこして寝かしつけている時に片耳だけポッドキャストを聞いて学習をするようにしていました。 

その時に伊藤穰一さんのポッドキャストに出会い、面白いなと思って聴き始めたんです。 

シビックテックやオープンソース、オードリー・タンなど最先端の話をされていたんですが、ある時からweb3の話をするようになり、そこで初めてweb3という概念やNFTという技術の存在を知りました。 

さらにweb3のことを勉強していく中で、伊藤穰一さんのポッドキャストに新星ギャルバースの共同ファウンダーである草野絵美さんが出てきました。 

実は絵美さんは慶應SFC(湘南藤沢キャンパス)の後輩にあたり、実は当時からSFCで有名人だったんですよね。 

直接面識があったわけではありませんが、彼女がweb3の世界にいるということ、そしてお子さんがZombie Zoo Keeper(全国的に有名になった小学4年生のNFTアート作品)であり、彼の作品が数百万円で取引されているという話も聴いて、すごいなと思っていたんです。 

伊藤穰一さんは「とにかくやってみないとわからないので、まずは安いものでいいからNFTを買ってみましょう」とおっしゃっていました。 

そこで数百円程度のかわいいコアラのデジタルアートを買いました。これが、私が初めてNFTを買った体験になります。 

そして次のタイミングで出会ったのが山古志の取り組みである錦鯉NFTです。 

これが私にとって非常に大きな衝撃でした。 

NFTを買ったものの、まだその凄さにピンと来ていなかった状態で出会った山古志のNFT。 

「これはものすごく面白いプロジェクトに出会ってしまった!」という感覚がありました。 

関連記事:【直撃インタビュー】人口800人の限界集落・山古志の挑戦 NFTでつながった地域住民とデジタル村民が目指す新しい”独立国家”

私は高校生の時から「地方にどうやって関係人口(移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉)を作るか」とかいうことを勉強しており、自分も何らかの形でそういった取り組みを実現したいとずっと思っていました。 

そのため、NFTを使ってそれを実際にやっている人たちがいて、本当に感動しました。 

山古志の錦鯉NFTを買うと山古志の電子住民になれることを知り、二次流通で購入して山古志のディスコードに入ったことが、私がNFTに関わっていく上で大きな転機になりました。 

−錦鯉NFTが登場した時は確かに注目を集めましたが、当時日本のNFT界隈で盛り上がっていたのはクリエイターの1点物の作品だったと思います。その状況下で、アート作品よりもNFTを活用した自治体の取り組みの方により興味を持たれたのは、やはり田中さんが財政破綻を経験した夕張市と縁があったからでしょうか? 

厳密には私の出身は札幌なんですが、夕張出身の親しい友人がいました。 

それもあって、大学受験の際には「夕張市の財政破綻という社会課題を解決したいからSFCに入りたい」という主張をして、AO入試で入学しました。 

夕張市は、夕張メロンなど有名なものはたくさんあるけど住みにくいし、人も来ない。 

移民を受け入れる政策を北海道だけ特区でやろうというようなことも当時は言っていましたが、一周回って「人口減少社会において、フィジカルに人を呼び込むのは無理だな」と思うようになったんですよね。 

では人を呼び込まないでどうやって地方創生を実現するのかと考えた時に、デジタル上の関係人口だな、と。 

その土地に住まずとも納税ができ、投票でき、地域に貢献できる。そんな仕組みがあったらいいなと考えていたところに、「そういった解決策、あるよ」ということを山古志に教えてもらった感じですね。 

「ふるさと納税」でできる寄付の一歩先にあるガバナンスにまで人々が参加できるのは、山古志の取り組みの非常に特徴的な部分だなと感じました。 

夕張メロンのコミュニティをNFTで

初競りで競り落とされた夕張メロン

出典:朝日新聞デジタル 

−田中さんの現在の活動において、NFTはどんな風に活用されていますか? 

私たちの「夕張メロンNFT」プロジェクトの中では、NFTに3つのユーティリティを含めています。 

1つめは、デジタルアンバサダーになれる権利です。 

要はコミュニティの参加権ですが、夕張メロンの生産者さんの仲間になれる権利のようなイメージです。 

個人的にはここが一番重要なポイントです。 

2つめは、本物の夕張メロンを受け取れる権利。 実物資産とNFTが紐付いているユニークな点です。 

3つめは夕張メロンのデジタルアート。 

普通のメロン引換券だとメロンを食べ終えてしまえば不要になるので、ぜひウォレットにとっておきたくなるデザイン性のあるアートを、ということでアート性の高いNFTにしました。 

888個限定で販売しており、すでに200個売れています。(2023年2月1日時点) 

2023年5月末くらいまではアンバサダーになってくれる人を募集しています。 

このプロジェクトが目指すのは、デジタル関係人口に近い概念であるデジタルアンバサダーを募集してメロンの引換券を購入してもらうこと。 

イメージとしては納税に近い感覚です。 

夕張市の農家さんにお金を入れてもらい、農家さんの取り組みに「自分ごと」として参加していただく。具体的には、アンバサダーの方も夕張市のみなさんと一緒になって、メロン作りのプロセスを応援してもらう。 

見て楽しんでもらうだけではなく、自ら参加してもらい、時には広報活動なども一緒に行っていくことで、夕張の人たちと一緒にコミュニティを作ってもらっています。 

こういった活動を半年ほど続けていくと、やがてアンバサダーのみなさんの手元にメロンが届く時期になり、メロンを食べながらオンラインでつないで、収穫祭などのイベントを行う予定にしています。 

「半年間、こういう活動をしてきたよね」ということを、最後にみんなでメロンを食べて、美味しくいい気分になりながら共有しあう感じですね。 

この体験をうまくデザインできれば、半年後には「夕張市の一員になったな」という気持ちになっていただけるんじゃないかなと思っています。 

−非常に興味深いユーティリティですので、1つずつお伺いします。まずはデジタルアンバサダーについて。アンバサダーの人たちは、コミュニティの一員として具体的にどのような行動をするのでしょうか? 

例えば、SNSを活用してデジタルアンバサダーの方にポイントを付与する取り組みなどがあります。

夕張メロン、あるいは夕張メロンNFTに関することをTwitterやInstagramで発信してくれた人に対して、換金不可のソーシャルトークンのようなものをコミュニティ内で付与してあげるんです。

1ツイートしてくれたら1ポイント付与するというようなイメージですね。ポイントが貯まると、もらえる夕張メロンのランクがちょっと上がる、みたいな(笑)

これはぜひ楽しい企画物にしたいと考えていて、例えば「夕張メロンの種まきの様子をディスコードに載せるので、それをツイートしてくれたら1ポイント」といったことを仕掛けようという話を、夕張メロン農家さんたちと進めています。

「何かアクションを起こしたらポイントがもらえる」という類の仕組みはみなさん馴染みがありますので、細く長く続けられる取り組みになるんじゃないかと思っています。

デジタルアンバサダーと共に取り組む地方創生

出典:夕張メロン「デジタルアンバサダー」特設Webサイト 

−実際にNFTを買ってアンバサダーになっている人は、どんな人たちなのでしょうか? 

最初の仮説では、北海道や夕張にゆかりがある人や、地方創生に関心がある方が集まるんだろうなと思っていました。 

ところが実際は、必ずしもそうではなかったんです。 

そういった方も半分くらいはいますが、残りの半分は「NFTが好きな人」ですね。 

北海道や夕張、地方創生という切り口から来ているわけではなく、「NFTでメロン?なにそれ面白いじゃん」みたいな(笑) 

「実物資産と紐付いたNFTって面白いですね!」と言って買ってくれる人が結構います。 

そういう方々と夕張のローカルな人たちが、「今日も雪降って最悪だったぁ」というような話をネタにしてコミュニティ内で会話を始めています。 

−その点は山古志と似ていますね。山古志も最初に入ってきた人のほとんどはNFTが好きという切り口からだったようですが。 

私も山古志DAOに入っているからわかるんですが、山古志と私たちの違いって明確にあるんですよね。 

つまり私たちは、「夕張と言えばメロン」だということ。 

メロンに特化している点が、元々夕張に縁のない人でも関わりやすいのかなと思います。 

今は雪かきの時期、次に種まき、みたいな流れを共通認識として持っているので、それに対してみんなで応援するというような明確な関わり方があります。 

収穫したものはみんなで分かち合えますしね。 

逆に山古志が本当にすごいなと思うのは、「テーマはなんでもOK!」という形でガバナンスしているところ。 

一方の私たちは「メロンを美味しく作ろうぜ!」という形で、1つのプロジェクトでガバナンスしているところ。 

そこに違いは感じています。 

web3の技術で遠くから地域を支える

引用元:夕張市Webサイト 

−「夕張メロン×NFT」というこの取組み、そもそも「誰のための活動」なのでしょうか?また、田中さんはなぜ会社を立ち上げてまでこれをやりたいと思ったのでしょうか? 

まずは私がやりたい事という視点でお話しします。 

夕張に絞った話ですが、夕張が財政破綻を経て、苦しい思いもしたけど新しい未来に向かって進んでいったらいいな、という想いが私の根底にはあります。 

それは間違いなく想いとしてあるんですが、じゃあそれを「プロジェクトにどう落とすか」と考えた時、「夕張ってそもそも何なんだ?」というところをまず分解しました。 

するとそれは、夕張に住んでいる人たちであり、夕張で営まれている生業であり、夕張の地域産業である、と。 

それらが夕張を形作っているわけです。 

そうすると、「夕張が新しくなったらいいな」という漠然としたイメージも、分解していくとやはり夕張の地域産業、基幹産業である夕張メロンという農業、これを強い事業にして、そして地域全体の事業も強くしていく必要があるというところに行き着きました。 

その意味ではこのプロジェクトは、私のふわっとした想いに基づくものではあるものの、言語化すれば「夕張メロン産業という地域産業に貢献する」ということになります。 

ではなぜ、私がそれをやるのかというところですが、これはMeTown株式会社のビジョン、ミッションにあたるところでもあります。 

私も北海道に貢献したいという強い想いがありながら、現在は北海道に居住することができていません。 

コロナもあって、ここ最近は帰省もできていません。 

でも、誰よりも北海道のことが好きで、北海道のことを気にかけている。 

こんな私が「どうやったら地域に貢献できるか」と考えた時、貢献できる方法が今まではなかったわけです。 

でも、「それはNFTだったらできる、だから作ろう」ということなんです。 

子供もいるし、いろんな事情もあって夕張には行けない。 

でもデジタルアンバサダーという形で夕張メロン農家さんと仲良くなり、一緒に取り組みを進める仲間になる。 

この状態が実現できたら、地域に貢献したいという自分の承認欲求も満たされる。 

デジタル上で地域に参加でき、第二のふるさとに参加できる。そういった形で参加者側の想いを満たせるような仕掛けにしたいと思っています。 

ですので、このプロジェクトの成功の定義は「夕張メロン産業が強くなること」です。 

夕張メロンの産業側から見れば、たくさんのファンがいて、そのファンが顕在化されて、応援してくれて、困った時には助けてくれる状態。 

一方、応援する側にとっては、ある種の承認欲求が満たされている状態。 

これが成り立っていれば、双方にとって幸せな状態なんじゃないかなと考えてこのプロジェクトには取り組んでいます。 

NFTのおかげで夕張メロン農家の収入がアップ?

出典:OpenSea 

−夕張メロンNFTの売上は、誰の管理のもと、どのような形で使われていくのでしょうか? 

NFTの売上は私たちのパートナーである農協のお金になります。 

1つ具体的な資金の使いみちとして、農協、つまりJA夕張市が農家さんから今までよりメロンを高く買うことができるようになります。 

農協と農家さんは親密な関係にあり、農協が農家さんから農作物を束ねて出荷しているという形になります。 

農家さんからすると、今までよりも高く夕張メロンを買ってもらっている、という構図になっています。 

これにより「夕張メロンの農家さんが潤う」という構造が、まずはできます。 

一方、農協はそれだけにお金を使うわけではありません。 

コミュニティの運営のためにNFTの売上を「みんなで使えるお金」にしたいと考えています。 

具体的には、すでにお話しした収穫祭などの企画へ予算として配分することを、農協も考えてくださっています。 

私たちはその部分をサポートしている立場なので、一部サポート料金を受け取るという感じになっています。 

とはいえ本当にまだ手探りの段階であり、詳しく決めていないというのが正直なところです。 

山古志のDAOと違うのは、仕入れのメロン代金が発生するがゆえに、「売上のすべてをトレジャリーウォレット(共同管理の財布)に保管して、みんなで資金使途を決めて使っていく」という動きは取れない点です。 

ですので、厳密に言うと私たちのコミュニティはDAOではなく、「NFTの売上で農家さんからメロンを高く買い、それをコミュニティのみなさんにお届けするよ」という感じで、「メロンの小売にオンラインコミュニティが付いている」というような構造になっています。 

−確かにDAOと異なる部分はありますが、NFTの売上を農家さんに還元できる仕組みはとても面白いですね。 

農家さんから「この仕組み、とてもいいね」と言われるのは、メロンを作る前にお金になっている点です。 

お金の流れで言うと、「入ってくるお金が先に確定していて、あとはちゃんとメロンを作りさえすればこの金額で売れることがわかっている」という、これは播種前(はしゅまえ)契約といって農業の世界にある概念に近いんですが、いわば「種をまく前に契約しちゃう」みたいなイメージです。 

「作ったけれどいくらで売れるかわからない」よりも、「この金額で買われることはわかっていて、あとはしっかり作るだけ」というマインドになるので、この取組みはいいねと言ってもらえます。 

ただ、今のところ個数は少ないので、農家さんの家計に大きなインパクトがあるかというと、まだそこまでではないかなと思います。ですが、それでもうれしいとは言っていただけますね。 

農家さんはメロンを作る前に設備投資や、肥料や農薬の購入などめちゃくちゃお金がかかっているのに、実際に売上になるのは秋冬。そこまで待たないとお金が入ってこない。 

その不安を1年間感じながら仕事をしているのが当たり前の世界だったんですよね。 

農業者向けの融資やファイナンスの仕組みはありますが、NFTを用いた仕組みがあれば、こういった金融制度を利用してわざわざ金利を払う必要もなくなりますからね。 

web3時代の新しい「お中元」の形

誰からも人気の夕張メロン

出典:夕張新聞 

−NFTだからこそ実現できたことは他に何かありますか? 

とても面白いことが1つ起きているんです。 

私たちのやり方は、クラウドファンディングのような部分もあり、あるいはオンラインサロンのような要素もあります。 

言うなれば、有料のファンクラブみたいなことをやっているという風に受け止められることもあります。 

そして、その運営を実際に始めて起こった現象として、自分では1個食べきることも難しいはずの夕張メロンを、7個とか9個とか買ってくれる人、つまりその数だけNFTを買ってくれる人が発生したんです。 

そういう方々に対して「本当にメロン届いちゃいますよ!大丈夫ですか?」と私も不安になっていたんですが、そういった方の中には「友だちにこのNFTを送るんだよ!」と言ってくださる人がいて。 

これって、一般的なクラウドファンディングやオンラインサロン、ファンクラブではありえない概念なんですが、「会員証をたくさん買ってみんなに配る」ということなんですよね。 

それが結果的にメロンのギフトになる。つまり日本のカルチャーで言うとお中元なんです。 

NFTだからこそ転売、あるいは無償でのトランスファー(NFTを送ること)ができる。 

すると、新しいお中元文化として、夕張メロンを直接送るのではなくNFTを買って送るという今までにはなかった現象が起きています。 

これはNFTらしい要素で、まさに「トレーディングカードを交換するノリで夕張メロンの引換券を交換しちゃう」みたいなことが実際に起きているのはとても面白いなと思います。 

−メロンを誰かに届けたい時には、必ずそのNFTをトランスファーする必要がある? 

いえ、メロンの送り先だけを友だちの自宅などに指定することはできます。 

NFTは自分が持ったまま、メロンの配送先を指定すれば問題ありません。 

ご家族などに送る際はこれでいいと思います。 

でも、web3って匿名の文化じゃないですか? 

なので、友だちに対して「住所教えてよ、本名教えてよ」っていうのは変な感じがしませんか? 

匿名性のメリットを活かすためにはNFT自体をトランスファーして、その本人に直接メロンの送り先を申請してもらう方がいいと、みなさんからも言っていただいています。 

ウォレットを見ればあなたの「地域アイデンティティ」がわかる

夕張メロンNFTは日本円でも買える

出典:夕張メロン「デジタルアンバサダー」特設Webサイト 

−今後、NFTを活用して挑戦したいことを教えてください。 

夕張メロンNFTと同じ仕組みが他の地域にも導入されていく世の中になったらいいなと思っています。 

私はたまたま北海道出身なので、北海道夕張市のデジタルアンバサダーになることは楽しいですが、「夕張とか北海道のことはどうでもいい、特に興味はない」という人からすれば、全然関係のない取り組みを私たちはやっていることになるので。 

仕組み自体は面白いなと思ってもらえても、その対象地域に縁がない人にとっては自分とは関係のないことになってしまう。 

ですので、これをいろんな地域で導入し、より多くの人が自分ごととして関われる仕組みになっていくと、日本はもっと面白いことになるんじゃないかなと思っています。 

北海道だけじゃなく、福岡でも広島でもいい。そういった地方に縁がある人で、でも東京や大阪のような大都市で働いている人。 

そんな人が、デジタルで地方に参加している状態が当たり前になっていく。 

「あなたのNFTはどんな感じですか?」と言ってウォレットを見ると、「福岡出身だったんですね!」というようなことがわかって、そこで会話がはずんで行く。 

すると、「じゃあ私からはメロンを送るので、そちらの特産品の牡蠣と交換しませんか?」みたいなコミュニケーションが生まれるんじゃないかなと思っています。 

みんながデジタル上でも自分の地域のアイデンティティを表現できて、そのアイデンティティゆえにコミュニケーションが発生し、ソーシャルギフトが取引されて、みたいな感じです。 

そして最後には、実物の地域産品がそれぞれの家に届く。 

本人は都会にある自宅にいて、これらをすべてオンラインでやっているんだけど、ほっこりした第二のふるさとのつながりをいろんな人が楽しみ、交流する。 

そういった世界線を作っていけたらいいなと思っています。 

例えば、夕張メロンNFTを買ってくれる人ってどんな人なのかなと思い、ウォレットを見に行くんですが、そこに錦鯉NFTがあると「うわ、絶対いい人じゃん!」ってなるんですよ(笑) 

錦鯉NFT、つまり山古志のあの理念を共有できる人なんだということがわかった上でつながれるから、オンラインで匿名の状態だけれども、でも仲良くしようって思える。 

この感覚を大事にしたいと思っています。 

関連記事:【夕張メロンNFT】農業×NFTのプロジェクトが始動 夕張メロン引換券の特典もあるJA夕張市公認の「デジタルアンバサダー」になる方法を紹介

インタビュー記事一覧はこちら